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京都大学戦争遺跡研究会(2017-)

 戦争遺跡研究会は、主に戦争の記憶を後世に継承するための活動に取り組んでいます。活動内容は、戦争体験者からの聞き取りや、「戦争遺跡」と呼ばれる明治~昭和までの戦争に関する遺構の調査研究などです。現在、各地の教育委員会や郷土史家、戦友会、有志の方々などのご協力を頂いて「戦争遺跡アーカイブ」を作成中です。本サイトでは我々の活動の一部を公開させて頂きます。ご質問ご意見はyuki0118(アットマーク)gmail.comまでお願いします。2016年以前の活動はこちら→http://senseki3.kyotolog.net/ ツイッター @sensenki3

戦争遺跡探索について

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戦争遺跡探索について

以前誰からだったか、「戦争遺跡をどう探索するのか~」というご質問がありましたので、我々の活動時の服装や調査方法について少し書いておきたいと思います。

1、服装・持ち物
2、調査方法


1、服装・持ち物

▽探索時の服装・持ち物(例1


探索時の服装の一例です。街中にあるものは別として、戦争遺跡は藪の中に埋もれている場合が多いので、このように手足を保護して探索を行います。というか、改めてみるとめっちゃダサい怪しげな格好ですね。ジャージにスニーカーで来るメンバーもいますが、安全面を考慮するとおすすめしません。

①帽子
 熱中症にならないようにしましょう。防暑覆のついた帽子を被る人もいます。

②手籠(アームカバー)
 手首を保護するものです。事務作業するおっさんや、田んぼする人がつけてるアレです。最近はスポーツ系のメーカーが販売しているものもあるようです。あると便利です。軍手と袖の間の露出部を蚊に襲撃されることを防ぎます。UVも防ぎます。

③軍手
 ホームセンターで買えます。合皮か純綿が良い。

④ヘッドライト
 モンベル(mont‐bell) パワー ヘッドランプ(160ルーメン)を使っています。
光量の切り替えができるので重宝していますが、もうちょっと威力がほしい。

⑤手拭い
 二枚ほどもっていきます。水にぬらして被ると冷たい。

⑥蚊取り線香
 腰から吊るしておくと、虫が寄ってきません。ただし臭い匂いがつく。金鳥の天然除虫菊のやつがおススメです。

⑦虫よけスプレー
 首元や顔などにシューします。ムヒのやつが一番効く気がします。

⑧鉈
 藪を切り開くときに使います。いざという時の護身用にも使えます。熊や山賊にはまだ遭ったことがありませんが、第三火薬廠でミニスカポリス(?)みたいなやつのコスプレ撮影会に出くわしたことがあります。向こうもさぞ驚いたことでしょう。

⑨カメラ
 すぐ使えるように紐でリュックに吊るしてあります。よく落とすので、「水深1mでの撮影も可能な防水性や衝撃に強い堅牢ボディ。さらに建設CALSモードを搭載するなど、建設工事現場でのニーズに力強く応え」てくれるリコーのCaplio 400G wideを使っています。土方の使うカメラですね。ただ難点は、ちょっと暗いだけでも、高感度設定にしないとまともに写らないこと。

⑩合羽
 雨が降ったり、藪に突入するときに羽織ります。かさばるので上だけ持っていきます。表側を地面に敷けば、敷物にもなります。

⑪ロープ
 通気口からカメラを吊るして撮影するときなどに使えます。

⑫ゲイター(登山用スパッツ)
 いつも靴に石ころなどが入ってイライラしていましたが、これを履くようになってから快適です。

ーーーーーなくてもよいがあれば好ましいものーーーーー

⑬清めのお塩
 私は心霊現象的なものを全く信じていないのですが、一度舞鶴の引揚者施設跡で怖い眼(舞鶴の旅館で寝ていると、金縛りにあって無数の手に顔を撫でまわされた。2回も。)に遭ってからは、戦争関連の施設に行くときには塩を持参するようにしています。パワーがありそうなので、安倍晴明の清明神社の御塩を買いました。また、お腹が空いたときに嘗めたり、ゆで卵にかけて食べることもできます。

⑭お線香
 慰霊碑や忠魂碑にお供えするものです。お参りした後は、火事にならないように消します。
お米などもあればお供えによいかもしれません。山の方だと猿害があるので、饅頭などのお菓子を供えるのはよくありません。最近の市販の線香は、煙もあまりでないし香りも少ないので、いつも烏丸二条の香老舗 松栄堂で線香を買っています。「玉響 京松葉」を買うことが多いです。白檀の香りです。

⑮名刺
 地方の村を歩いていると、よそ者が来ると不審に思われることがあります。ましてや、上記の姿で藪の中でガサガサやったり、廃墟の中をごそごそ物色したりしていると怪しさ満点です。この間も密漁者と間違われました。ですので、当たり前ですけど道で会う人にはできるだけ挨拶することと、お話を聞く際や、他人の敷地に入る際にこちらの身分を明かしておくことが重要です。また、地方に行くと方言がすごいので、日本語が通じないことがあり難儀しますが、名刺を渡して「大学の研究できました。」といえば、大体通じます。

⑯煙草
 一服用。お金がないので最近はホープやわかば(とてもまずい)を吸っています。当然、携帯灰皿も持参。というか最近煙草を吸うところがなさ過ぎて困ります。よく行っていた河原町のソワレもフランソアも禁煙になってしまいました。学生や地元の人間を閉め出してどうするつもりなのでしょうか。もう築地と六曜社に行きます。大学内の喫煙所すら年々減少していて、郁々は学内全面禁煙になるとか。まるで野山を追われる野生動物の気持ちです。

⑰お数珠
 重くなるので、略式数珠で良いでしょう。男性は大きい珠の数珠を、女性は小さい珠の数珠を使うのが一般的です。慰霊碑を拝み、供養する時などに数珠を手にかけてお参りします。近年、葬儀や供養に数珠を持参しない方が多いようですが、数珠を持たず葬儀に参列することは仏様を鷲掴みにする行為とされるらしいので、なるべく数珠を持つようにしましょう。他には厄除けなどにも。戦時中に死者が出た場所に入るとき、拝んでから入ると気持ちもだいぶ楽です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

⑰その他
 このほか、資料、ノート、筆記用具、地図、水(ポカリスエット、マッチが多い)、行動食(カロリーメイトとか)、携帯電話、音声レコーダー、方位磁針、笛なども持っていきます。リュックサックは20リットルぐらいで十分でしょう。湿地などの場合は長靴も。あとドブに落ちた時用に着替えも。蜘蛛の巣突破用の木の枝は現地で調達。


2、調査方法
 「研究会」とかいってますけど、ガチでフィールドワークをやっているような民俗学とか生物学系のメンバーはいない(総人、文、教育、農)ため、門外漢で素人の集まりなので、学術的な調査の役にたつかは分かりませんが、あくまでご参考までに我々の乏しいノウハウを共有できればと思います。

 戦争遺跡は、大学などの学術機関がまだ本腰を入れて調査研究を始めていないので、全国各地の在野の皆様(我々も含めて)による遺構の分布調査や保存のはたらきかけ、また地元の皆様による戦争体験者からの証言の聞き取り調査が求められています!
 特に戦跡は毎日どこかで何かがなくなっていると言われるほど、急速にその姿を消しつつあり、また戦争体験者もほとんどが90代、100代になられている今、戦跡の保存と体験証言の収集が急務であります。今しかできない(ここ2、3年がギリギリか)ことなので、是非とも力をお貸しください!特に地元の方はどうかご協力をお願いいたします。


①事前の情報収集
 これが一番大事。まず、図書館等で部隊史、郷土史をあたります。場合によっては、社史などを参照することも。また、インターネットも活用し、アジ歴などで当時の資料を探します。現地の教育委員会や保存会などと連絡をとる場合も。自衛隊基地や企業の場合は、事前に電話して取材許可。お礼の品を持参。お菓子のたくさん入った小分けになっているお土産が好ましい。基本的にあまり調査の進んでいない地域に行くことが多いです。
 身内や友人に「~へ行く」とあらかじめ伝えておくと、行方不明になった際に捜索が容易です。特に単独行の場合は必須。山中で道に迷ったときも、低山の場合であれば、川伝いに下れば大体下山できます。

②現地調査
 まず忠魂碑や護国神社、土地神さまにお参り。道中出会う人には必ず笑顔で挨拶。役所では個人情報とかで、何も教えてくれないので、地元の喫茶店や寄り合い所で情報を集めます。必ず一品頼むか何か買う。大体、お一人と知り合うと、地域ネットワークを介してどんどん話がひろがっていきます。基本的に徒歩での移動、範囲が広い場合はレンタサイクル。原付を借りることも。
 昔の話などを聞く場合、なるべくお仕事中の方は遠慮します。一度探索中に、もの凄いおばあさんがいたので、「これは戦時中の~ですか。」と尋ねたところ、「私はそんな年寄りじゃありません!!」と激怒されたことがあり、申し訳なかったことがあります。話しかける相手によって言葉を選んだ方がよいでしょう。特に女性の方には気を遣うこと。また、こちらの身分と目的をきちんと説明しないと、詐欺師とかと間違われることがあります。身分と目的とを明かせば、大抵の人は快く話に応じてくれます。
 また、つくづく思うことですが、証言の聞き取りは地元の人間が行うべきだと思います。というのも、地方の言葉というのは、よそ者にとっては難しい場合があり、話し手の意図を百パーセント理解できるとは限らないからです。色々と話をしてくれても、ほとんど分からないということもありましたし、何度もそういう残念な経験をしたことがあります。
 蜘蛛の巣がうっとおしいときは、木の棒を目の前に出してぐるぐる回して破壊しながら行くと大分違います。山の中には、スズメバチや毒蛇などの危険な生物がいっぱいです。また、古い建物や壕は崩れたりしますので、生き埋めにならないように十分注意して下さい。
 帰りに現地の銭湯で体を清めます。着ていた服は汗と泥と黴でとても臭いので、帰ってすぐに洗濯機にぶち込みます。

③資料整理
 帰ってから資料を整理します。後日、案内していただいた方や体験を話していただいた方に礼状、感謝の品を送る。個人情報の扱いに注意。年賀状も出す。作成した冊子や報告も同封。

市町村などが「戦跡めぐり」として、訪問、観光を推奨しているような場所は別として、ほとんど紹介されていない、人の立ち入らないような場所に行く際には、相当な準備と用心をしてかかる必要があります。ケガをしたり、不測の事態に陥った時のために、現地の警察や消防の連絡先もあらかじめ調べておいた方がよいでしょう。また、現地で無用な破壊行為や不法行為を行うことは言語道断です。来た時以上にきれいにして帰るよう心がけます。改めて言うまでもありませんが、訪れる場所がどういうものであるのか必ず念頭に置いておくべきでしょう。

では、お気をつけていってらっしゃいませ。
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